Sponge Mind

日常と非日常の触発ブログ

運転不自由

   今週のお題「わたしと乗り物」に従って綴ってみる。

 

   車を運転するのが異常に苦手だ。自動車学校にて車を運転した時、衝撃的な言葉を浴びせられた経験がある。それは、駐車で左へ切るべきか、右へ切るべきか分からずにあたふたしていた時だった。痺れを切らした教官が、助手席から降りて車の正面に立ち、大声で説明し始める。理解できない私。苛立ち始める教官。その時に放った言葉が、「お前目どこについとんねん!」。学生の私にとっては、帰宅後も頭に響くほど衝撃的なワードチョイスだった。今も忘れられないほど強烈だった。その上、運転時の適性検査も注意力の項目に引っかかる。前の車が止まったことに気づかずブレーキを踏まなかったり、シュミレーターでは突然出てきた障害物を引き倒したり…注意散漫なのと瞬発力の無さが相まっていた。私のことをよく知る友人や親でさえ、「あなたは落ち着きがないから運転に向いていない」とよく言われる。以上のことから、運転をするべきではないことは十二分に納得している。

 

   ただ、比較的都会育ちの私は車がないことで苦労した記憶がない。遠出するならレンタルすればいい。常日頃から必要ではないと考えていた。免許持ちの、いわゆるペーパードライバーというランクに成り下がる。

   そんな昨年の夏、友人と海辺に行こうという話になる。レンタカーを借りようかとも。その友人も私も、ペーパードライバーだ。私に関しては、3年もまとも運転していない。周りに相談すると、どの人からも止められる。その時期、人生に絶望していたこともあり、まあ今なら死んでもいいか…くらいの軽い気持ちで運転する決心をした。人を怪我させる等の迷惑をかけることなど考えずに。自己中心的だ。

   当日は交代制で運転することに。案の定、駐車が苦手な私はパーキングに15分ほど要した。周りに車がなくて良かった。帰りは友人の運転で、S字クランクのような道に出くわし、現実世界でこんな道があるんだと二人で笑い合った。疲れた友人と交代し、その後、釣り堀へ行き、温泉街に立ち寄ってきたので、数時間も運転してしまった。しかし、事故も起こさず、今もなんとか生きている。

 

   未だに車を所持していない。現居住地は田舎寄りだ。田舎と呼ばれる地域は、店舗ごとの間隔が広いため車が必須。電化製品を買いに行きたい場合、家から自転車で片道30分以上はかかる。道中、急な坂道もある。最寄駅から徒歩で片道20〜30分ほどか。急な坂道も含めて。ある日、浴室の電球が切れた。近場に同じ系統の電球が売られていなかった。明日も明後日も…仕事だ。そんな日に切れるなんて、なんと運のない私らしいんだろう。休日、栄えた場所に行くことがあり、ようやく電球を手に入れることができた。初めて車の必要性を実感する。なるほど。こういう時に必要なのか…と。

   単身を決めた際、駅から近くに住もうと考えていた。多少家賃が高くても、車を所有しない分、アクセスが良いところに住むべきだと確信していたためだ。過去の自分に感謝する。家電製品店まで想像していなかったが、英断だった。

 

   そうだ、助手席のプロになろう。ある時、運転ができないのなら助手席で何かできるようになろうと思い立つ。主役ではなく、脇役。主導権を握るのではなく、補佐に回る。今は、助手席のプロとして自身を育成中だ。